【前回の記事を読む】銃撃現場付近で「この人を探しています」とビラを配る女性が…載っていたのは、事件前夜から行方不明の認知症の75歳男性で…

ダウト1――銃殺を疑え

「ドーン? パンじゃなくて?」

「ドーンですよ。でもその時は何の音だろうって思ったくらいで、そのまま飲み続けていました。そしたら今度は3時くらいに100メートル先のあの林の中でパンというすごい音がしたので、3人でおそるおそる林の中に入ってみたら、10メートル程先の木の根元に倒れている男の頭が見えたんですよ。頭の横から血が出ていました。それ以上近づくのは怖かったんで、そこで110番しようとしたら、それより早くあの2人の刑事が駆けつけたんですよ」

「えっ、110番する前に?」

「はい、俺らもおかしいと思ったんですけど、質問する暇もなくて。

刑事からは名前と連絡先だけ訊かれて、あとは『ここは危険だからすぐに帰れ』って言われて、しょうがなくそのまま家に帰ったんですよ」

「その時の刑事の名前を憶えていますか?」

「さあ、名前も言わなかったような気がするけど。ただそのうちの一人は夜中なのにサングラスかけた背の高い男でしたね」

高井良と詩は顔を見合わせた。

「ありがとう。参考になったよ」

二人は若者達に礼を言うと、公園の出口へ歩いて行った。

「サングラスをかけた背の高い男ってやっぱり辻さんのことじゃないですか? 110番する前に駆けつけたってことはこの周囲にいたってことですよね。一体何してたんだろう」

「覚醒剤取引の現場を押さえようとしてたんじゃないの?」

「それって組織犯罪対策部か麻薬取締部の仕事じゃないですか? それに仮にそうだとしても、銃撃した犯人を捕まえられなかったとしても目撃くらいはするんじゃないでしょうか。でも中間報告書には犯人については一切書かれていませんでした」

「とにかくもうこれ以上新たな証拠は出そうにないんだから、いい加減この事件は一課に任せて自分達の仕事に専念しようよ」

「自分達の仕事って何ですか。お互いにクイズ出し合ってるだけじゃないですか」

「それでお給料貰えるんだからこんなありがたい仕事はないわよ」

「僕は今度、山本麻衣を訪ねてみようと思います。光信さんはどうしますか?」

詩ははあ、と溜息をついた。

「行くわよ。行けばいいんでしょ」