その日の夜、2人は山本の自宅近くの歓楽街の地下にあるバーを訪れた。客はカウンターに座っている金髪パーマの若い男1人きりだった。
「藤井大輔さんですね」
高井良が警察手帳を見せながら男に声をかけた。
「何の用?」
藤井は手帳と高井良の顔を横目で睨みながら訊ねた。
「亡くなった山本学さんとは親しかったようですね。お話を聞かせてもらえないかと思って」
「別に話すことなんてないよ」
「随分年が離れているようですが、どういう関係だったんですか?」
「関係ないだろ」
「あなたは以前丸山組という暴力団に所属していましたね。山本さんもその組の構成員だった。そこで知り合ったんですね」
藤井は無言でウィスキーのグラスを呷った。
「僕は今回の事件には不審な点があると思っています。最近山本さんの周囲で気になるようなことはなかったですか?」
藤井は相変わらず一点を見つめたまま無言を貫いた。
「彼のところに辻という刑事が来ませんでしたか?」
藤井の表情が一瞬強張ったのを高井良は見落とさなかった。
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