【前回の記事を読む】年下の彼に何考えてるのか聞くと「あなたのこと」と…驚いて見ると、彼は目を逸らして…「好きなんだと思います」と告白してくれた

3.

付き合い始めて3か月が経った、ある夜のことだった。

武蔵の定休日に、千春が「うちで夕ご飯食べない?」と誘ってきた。渉は少し迷ってから「行きます」と答えた。

千春の部屋は、武蔵から電車で15分のところにあった。こぢんまりとした1LDKで、本棚がたくさんあって、窓際に小さな植物が並んでいた。

千春が作ってくれたのは、肉じゃがと味噌汁と、ごはんだった。ごくごく普通の家庭料理だった。でも渉は、それを食べながら、胸がいっぱいになった。

好きな人が自分のために作ってくれた料理…それは、母が死んで以来、初めてのものだった。

食事が終わり、2人でソファに並んで座った。テレビをつけたが、どちらもほとんど見ていなかった。

千春が渉の方を向いた。

「渉くん、緊張してる?」

「……少し」

「なんで」

「……千春さんの部屋に来るのが、初めてだから」

千春は少し笑った。渉の手を取って、自分の手に重ねた。

「私も緊張してる」

千春の顔が、少し赤かった。渉はその顔を見て、胸の中で何かが大きく動くのを感じた。

「……近づいていいですか」

渉がそう聞くと、千春は小さくうなずいた。

渉はゆっくりと千春の唇に触れた。柔らかかった。温かかった。千春の体が、かすかに震えた。

少し離れると、千春が目を閉じたまま言った。

「……もう一回」

渉はもう一度、今度は少し深く千春の唇を塞いだ。千春の手が渉のシャツをそっと掴んだ。

やがて2人は、自然な流れでベッドへと移った。