プロローグ

和歌には「枕詞」というものがある、と多くの読者の方は思っておられると思いますが私はまず、その常識を打ち破ることから始めました。

 

ひさかたの ひかりのどけき はるのひに しづこころなく はなのちるらむ

 

これは、百人一首にもある紀友則の有名な歌ですが、この頭の句「ひさかたの」は枕詞として、意味を訳さない事になっているのです(「枕詞」に対する私の考えは第八章)。

ですから、この歌の従来の解釈は、

「日の光がこんなにものどかな春の日に、(どうして)櫻の花は落ち着いた心が無く散ってしまうのだろうか」

とされているようです。

花は、梅でもクチナシの花でも散りますよね。櫻の花も、咲くやいなや散っていくわけではありません。

ですから、この解釈は変なのです。

櫻の花だけは、いつまでも見ていたいから散ってはいけないのに、なぜ慌ただしく散るのか。という事なのでしょうか。

このような変な解釈が生まれた根本原因が「枕詞」という考え方なのです。

 

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