【前回記事を読む】「3台で200万でどうだ」――ベトナム戦争の残留品、日本製バイクが待っていた。それに乗り換えて2000キロ走ることに…

肉を熾火(おきび)で焼いて、パンに挟んで食べる。カマンベールチーズ、ベーコンと野菜。

イリの親分が勧めるのには、

「ウルムチまで取りに来てくれた方がいいんじゃないかな」

途中での荷抜きを気にした。

交通取り締まり対策としては、

「トンコウまではしかるべき人を乗用車で付ける」

と言う。

一昔前の日本の子供は、

「鬼が来るよ」

と言って育てられた。

ナマハゲがそう。北京の子供は、

「ジンチャー(警察が)ライラ(来るよ)」

と言って育てられる。

トンコウ、トルファン間の五〇〇キロ。トルファン、ウルムチ間の一五〇キロ。この区間では主に夜間、非公式の検問が長距離トラックに対して行われることがあって、目的は賄賂(わいろ)の要求らしい。この単車は珍しいから引っかかりそうだ。

当然当局は否定していたが、隠し撮りの画像を見せ付けられて証言者の加工された肉声を聞かされたら、黙ってしまった。そうであればイリの親分が気を使うのも分かる。夜走ることもあるんだから。

互いに全く通じない方言の障壁と共産党地区委員会間の覇権争いが相まって、中国全土にテレビ局が林立していた。標準語の字幕付き放映。北京では全部見れた。