そのバイクの変速は左足のつま先でする。リターン式五段変速。踏み込んで第一速、蹴り上げて第二、三、四、五速まで。五速で無理なく走ったらガソリンはほとんど食わない。第一速と第二速の中間点がニュートラル。

スタートは第一速から、慣れてきたら、緊急時には半クラッチで吹かして(こうするとエンジンのトルクが上がる)第二速からでも発進できる。吹かすということはエンジンの回転数を上げること。第二速よりも第三速の方が回転数が高い。だから第二速から第三速へのギヤチェンジなら事前に吹かしてからクラッチを切ってやると回転数が合ってスッと入る。

もっと慣れてきたら下り坂ではクラッチを切るとニュートラルになって、エンジンのトルクが効かなくなり、エンジンブレーキが解除されてスッとスピードが増す。たとえ一瞬でも危険だ。こんなときはクラッチを切らずに回転数を合わせるだけで左つま先に軽く力を入れる。すると勝手にギヤがスコンと落ちる。上級テクニック。

こういった一連のギヤチェンジの流れをミランダもトラドも何とか身に付けた。と、安心していたらやけにエンジン音が高い。ミランダが第三速で時速七〇キロも出している。これではエンジンが焼き付いてしまう。第四速で走るべきだ。それでもまだトルキーな走りだったら第五速にシフトアップする。

第二速で時速何キロまで引っ張るのか、第三速では、第四速ではということをからだで覚える。この道は何速で走るのがベターなのか、刻々と変わる道路状況に合わせてギヤを合わせてやる。それができるようにならないと。

そういうことまでからだで分かるようになっていないと長距離ツーリングではエンジントラブルを起こしてしまう。ましてや慣らし運転のときにそんなバカなことをしたら元も子もない。

試し読み連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。

 

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