竜が大きな口を開くと、火山の火口から噴き出すマグマのような炎の塊が見えた。それがどんどん蓄えられて大きくなっていく。
賽子も脚を開き、右の人差し指を竜の口に向けると指先が青白く煌々と輝き、その光はどんどん強くなっていった。
「賽子さん……」
麻利衣が不安そうに塔の上を見つめていると、竜が恐ろしい劫火を吐き出し、賽子も青い光を放って応戦した。
2つの力は両者の中間地点で激しく衝突し、そのエネルギーは地上に降りた太陽のように白くまばゆく輝く光の球となり、その時だけ周囲は昼を取り戻した。
麻利衣と鍬下はあまりの眩しさに目を開けていられなかった。しかし、その均衡状態は長くは続かず、白い光球は大爆発を起こし、竜も賽子も光に包まれ、直後に爆風が襲いかかり、麻利衣と鍬下は咄嗟に身を伏せた。
スカイツリーの上部はバーナーで溶かされた飴細工のように真っ赤に焼け爛れて崩れ落ち、火口から噴き出したマグマのように地上に落下した。
爆発が収まると、上空から一筋の青い光が点滅しながら地上に落下し、地面に衝突するとアスファルトに穴を穿ち、土煙を舞い上げた。
竜は頭の右半分を削ぎ取られ、苦痛でのたうち回っていた。
「賽子さん!」
悲鳴を上げて麻利衣は危険も顧みず、穴に向かって走り出した。
「那花さん、危ない!」
鍬下も後を追って走り出した。地上に落ちて炎上している無残な塔の残骸をよけながら、麻利衣は穴に辿り着いた。穴の底には賽子が横向きに倒れ込んでいた。
「賽子さん!」
麻利衣は穴の中に滑り落ちると、賽子の傍に駆け寄った。
彼女は息はあったが、目を閉じて意識があるかどうか分からなかった。
「賽子さん、死なないで!」