【前回の記事を読む】フランスで食堂に入ったらセルフ式だった。欲しい料理を係員に指さし、レジに向かうと…聞き取れずレジを覗き込んだ。

3 パンと菓子の本場での勉強

修業仲間は高校生

学校に行くと校長が私を待たれていた。マダム・K校長。50歳ぐらいに見える校長だった。校長より直接、学校施設の説明や教師と事務職員の皆さんの紹介を受けた。1学年2クラス。1クラス約20人、全体で80人程度のこじんまりとした学校だった。

生徒たちの年齢が幅広いのは入学時点で2コースから入ってくるからとのことだった。フランスの義務教育は16歳まで。そして、職業訓練に大変注力している。職業訓練高校だから中学(コレージュ)を終えた16歳以上の生徒が入学してくると思っていたが違っていた。

第一のコースとして、16歳までに職業訓練を終えるコース。この場合、中学課程の途中から入学することもでき、14歳または15歳での入学となる。まだまだ子供のような生徒もいた。

第二が中学を終えて、進学する高校(リセ)を選ぶ段階で職業訓練高校としてパン職人、菓子職人になるためこの学校に入学してくる生徒。このコースの場合は16歳以上で入学している。当時のフランスでは中学でも落第があり、同じクラスに何人か年齢の異なる生徒がいた。

私はフランス語がよくわからなかったので、学校の説明は英語を中心に受けた。

校長の英語はあまり流暢ではなかったので逆に聞き取りやすかった。校長は「LEPルーアン」の校長であり、私が通ったパン・菓子科以外にも校舎が異なるが調理師科、ホテル科があり、こちらの通称オテルリー(ホテル学校)の校長でもあるとのことだった。

校長は面談した際、私の会話力を知り、二つの指示を出された。第一は受ける授業について。私のその当時の会話力では授業の理解は困難なので当面、午前中の実習のみ毎日受ける。実習は毎朝6時開始。午後は小麦粉の機器分析実習や美術の授業のように会話力がそれほど必要ない授業のみ受ける。

1年終了時、CAP(職業適性証)パン科の資格試験がある。2年終了時、CAP(職業適性証)菓子科の資格試験がある。この資格試験は数学やパン・菓子店運営に関する法律や原価算定の科目があるので、会話力が向上したらこれらの座学科目も受講させる。LEPルーアンの目的は生徒にCAP(職業適性証)を取得させることだった。

第二は会話力向上のため、会話学校に通うこと。その場で市内のアリアンスフランセ(半分公立のような会話学校)を紹介され、その場で電話して入学手続きを取った。それから、私のほうから校長に質問した。最初に、授業料はいくらか、そしてどのように支払えばよいかを尋ねた。日本を出発するまで授業料は不明で、最初に確認するよう会社から言われていたのだ。