次の朝、二人が気がつくと、そこは小さな砂浜(すなはま)だった。
空は青(あお)かったけど風はまだ吹(ふ)いていた。嵐は通(とお)り過(す)ぎたようだった。
すぐロープをほどいて、シートをたたんで木の幹(みき)にしばりつけておいた。
「どうやら、二人ともけがはないようだ」
おとうさんが言った。
「ここはいったいどこかしら?」
おかあさんが、ぼさぼさになった髪の毛の、ふっとい束(たば)をにぎると、水がじゃあーっとこぼれた。
「さーて、ここはいったいどこだろう?」
「子どもたちが心配だわ」
「うーむ、ここよりは良いだろう」
「ちゃんと眠って、ごはんを食べたかしら」
「チーホとチーグがいるから、だいじょうぶだよ」
「だといいけど。きっと、ミーニョは泣いているわ」
二人がまわりの様子を見に行くと、そこは海の上の、小さな小さな島のようだった。でも、そこがどこの島で、なんという島なのか、ちっともわからなかった。
わんはこっちの岸(きし)から離れることができず、ぶるぶるふるえる手で、ソテツの木につかまって、二人が、海の向こうに飛ばされていくのを見ていたんだよ。ケーケ、ケーケ。
たいへんだ。子どもたちに、なんとか知らせなくちゃ!
第5章
チーホの決心 (けっしん)―おとうさんとおかあさんをさがしに行こう!
家では、三人ともが、待ちにまった夜明けが来た。風はまだ少しあるけど、嵐は去(さ)っていて、ぬけるような青空(あおぞら)だ。
「う、うーーん」
チーグが目をさましてのびをして、布団に起き上がると、チーホはもうとっくに身(み)じたくをして、台所でなにかしてる。
ミーニョも目をさました。二人とも、いつもみたいにぐずぐずしないで、顔(かお)を洗(あら)い、服(ふく)を着(き)た。
「もう、ぜったい、すぐ行こう!」
チーグが、ミーニョの服を着るのを手伝いながら、突然さけんだ。
するとチーホは、前からわかってたみたいに、「うん、このおにぎり持っていくよ」と、手についたごはんつぶを、ぱくぱく食べながら言った。
チーグがテーブルの上を見ると、ごはんが大きいお団子(だんご)のようになって、お皿(さら)の上に山になってた。
「うん、これ……うん、おにぎりだよね!」
「わーい、お月見みたいだー」
ミーニョも、ちょっと元気になって言った。
【イチオシ記事】あの時と同じ露天風呂…でもあの時よりもずっと深く、愛しあった。「もう1回だけ」と囁かれ、湯けむりのなか重なりあって…
【注目記事】「三人でシよう」彼が同僚を連れてきて言った。私はただの遊びの女で、愛し合っていると思っていたのは私の錯覚だった…
ゴールドライフオンラインは、表現者を応援するウェブメディアです。
生身の人間が紡ぐリアルな言葉だからこそ、読者の心を揺さぶる力があると確信しています。
あなたも、"表現者"になってみませんか?
ゴールドライフオンライン編集部:glo_henshu@gentosha.co.jp