【前回の記事を読む】ヘアゴムかな? ふと手を出してギョッとした。それがプルプルと少し動き、父が「動くな!」と叫んだ瞬間…
第2章
小さなミーニョと笛吹き鳥
ミーニョは、さっきからお家の庭(にわ)の大きな石(いし)の上に座って、足(あし)をぶらぶらしていた。いつもなら小さな庭の中を走ったり、笑ったり、怒ったり、くるくると表情が変わるから、わんもそれを見ているのが楽しいんだけど、きょうはなんだか様子が変だ。
ときどきまちがえたふりして、足先(あしさき)で砂をパサッとけっている。何回かそうやっているうちにだんだんけとばす回数(かいすう)が増(ふ)えていって、ついにはバサッ、バサッと、思(おも)いっきり砂をけった。
「うっわーーっん!」こみ上げてきたものがミーニョを泣かす。
「チーホねえちゃんも、チーグも、ばかーっ。ミーニョだって畑でお手伝いできるのにー」
ミーニョは朝(あさ)、少(すこ)し熱(ねつ)があったので、保育所を休んで、おかあさんと留守番(るすばん)なんだ。泣いても泣いても、悲(かな)しいのがなおらない。二十分くらい泣いていると、なんだかトイレに行きたくなった。
仕方(しかた)なく行ったサ。それから戻(もど)って来て、さっきの石の上にすわって、さあ、また泣きましょうと思ったら、涙(なみだ)が少し足(た)りなくなったみたいで、
「シクッ、ヒクッ、うええ……」……ゴホン、と咳(せき)をしたよ。もう泣きたくなくなってしまったみたいだ。仕方なくミーニョは空(そら)を見あげてくちびるをすぼめ、ぴーと口笛(くちぶえ)を吹いた。いつも一人でいるときには、そっと吹いてみるんだ。
「ぴー ぴー ぴょろろろろー……」
すると、さっきの悲しい気持(きも)ちとは別の悲しい気持ちがあふれてきた。
「ぴるるー ぴるるー ぽろろろろー……」
ミーニョの悲しそうな口笛は庭をこえて、向こうの森まで流れていった。 するととつぜん森の方(ほう)から、かすかになにか聞こえてきたんだ。
「ピョーロ ピョーロ ピルリルリー」
ミーニョは聞き耳を立てた。音はたしかに、森の方から聞こえてくる。そして、少しずつ近づいてくる。
「ピョルルー ピョルルー ピョロリルリー」
ミーニョが立ち上がって目をこらしてみると、一羽の美しい鳥(とり)が、歌いながら飛んでくるではないか。