【前回の記事を読む】「あら? オリオンの三つ星が少しへんよ……」——オリオンの三つ星に選ばれた二人のもとに、光の粉が降り注ぐ。

第2章 夢見(ゆめみ)るチーホとハブ

またなん年といく月かの時がたち、チーホはキャラクワー小学校(しょうがっこう)に入り三年生 (ねんせい)になった。チーグは一年生、ミーニョは保育所(ほいくしょ)の年少さんだ。

チーホがぼんやりしているときは、たいがいはどこか空想(くうそう)の世界にいるんだ。夢見がちな子だけど、頼(たよ)れるお姉ちゃんでもある。

四月のある朝の食卓(しょくたく)でのこと。

チーホは右手におはし、左手にスプーンを持(も)ったまま、前(まえ)に座っているおとうさんの後(うし)ろにある、窓(まど)の外の空をながめていた。

まだ春(はる)なのにすぐ夏(なつ)になってしまいそうな強(つよ)く澄(す)んだ青空の中を、白い雲がゆっくりと流れてゆく。

はじめシュークリームのような形だった雲(くも)は、少しずつほどけてちがう形になっていくんだ。なんだか羽が生(は)えて蜂(はち)みたいになってきた。

 

毎日畑のハウスで働(はたら)くクロマルハナバチににてる。蜂たちはおとうさんとおかあさんが作っているパッションフルーツの花の間を飛び回って、良い実がなるように受粉させる大事な役割をしてるんだ。

チーホはにっこり笑って、(ハチさん、おはよう、おはようはハチさんの国の言葉でなんだっけ?)なーんて考(かんが)えていると、突然、カミナリが落(お)ちたような気がして思わず首(くび)をすくめた。