イベントがある前日の夜、いつもの電話でいよいよ明日であることを伝えるが、母はやはり乗り気ではない。未だに父の他界を悲しんでいる母ではあるが、その父が自分自身の死を覚悟した上でコミュニティセンターに依頼していたにもかかわらずだ。
最終的には妻の根気強い説得により、翌日のイベントに母は参加した。
その日の夜、妻は母への電話を少し楽しみにしていた。父を思い出しては泣いてばかりいる変化のない母の日常に少し辟易していたからだ。
「今日のイベントはどうだった? ちゃんと行った?」
「うん、行けって言われてたから行ったよ」
「どうだった? お友達できそう?」
妻は母がイベントに参加したことが嬉しく、少し高めのトーンで感想を聞いた。
「ちょっと無理ね。なんか……自分と違うもの」
妻の期待は一瞬でしぼんでしまった。残念そうに理由を聞く。
「違うって、何が?」
「何って言われても……なんか話も通じないし。私よりももっと……」
「お母さんより年配ってこと? でもそれはしょうがないよ」
「……うん」
しばらくお互いに黙っていたが、妻が気を取り直して母の背中を押す。
「三日後にもイベントがあるから行ってみてね!」
「……はい」
母は終始歯切れの悪い返事だったものの、私たちは母が自分で足を運んだことを喜んだ。母自身の印象は良くなかったとはいえ、何度か通えばそのうち慣れて友達もできるだろうと期待した。
母は三日後のイベントにも参加した。電話での歯切れの悪さは相変わらずだが、二度も足を運んだ。母自身もそれなりに思うところはあるのだろう。
次回のイベントは翌週だ。二週間続けて参加すれば習慣化してくるだろうと思った。
しかし、これは私たちの一方的な甘い考えだった。
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