そのような社会の中で、学習活動に多様な制限のある少数の人々は、それらの能力の違いによって、世間からの偏見差別による制約を受けて生きづらさを感じざるを得ない。

それらの人々はむしろ、さまざまな濁りに満ちた娑婆(しゃば)世界と、汚れきった時代や乱れた思想に染まることなく、淳心なこころをもった生き方をしていると言える。

ちょうど周梨槃特(しゅりはんどく)のように。

周梨槃特は『阿弥陀経』(1)の千二百五十人の中の一人に名を連ねている。いわゆる学習活動に制限のある人であったが、同じことを繰り返して行うことには何の抵抗もなく、一心に掃除をする修行で阿羅漢果(あらかんか)を得た人だったようである。

赤塚不二夫『天才バカボン』(2)に登場する、「レレレのおじさん」のような人ではなかったかと、わたしは勝手に想像している。

おろかな人にとっては、

世界のすべてが一様であり、万物斉同、万物一体となり、賢者も愚者もなく、善も悪もない、男も女もない、バラバラでみんな一緒、よきにはからえ、どっちでもいい、どっちみちおんなじ、すべてよし。

もう少しクールに言えば、生きてもよし死んでもよしであろう。

それが本当の意味で、おろかに生きることのようだ。

この世ではわたしのような煩悩具足で懈怠(けたい)な凡人であるにもかかわらず、いつまでたっても自分がおろかであると思うことはかなわない。

自分のこころにまかせることほど恐ろしいものはないと学ぶ。


(1) 中村 元・他訳註 『浄土三部経』 (上)・(下) 第二六刷改訳 岩波文庫 一九九〇

(2) 赤塚不二夫 『天才バカボン』 竹書房文庫 一九九四

試し読み連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。

 

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