嫌な予感しかしなかった。腎機能が悪化している? その言葉に、昨日の体重増加の理由がはっきりしたと思った。体内の水が尿として捨てられず、余剰の水として体内に溜まっていただけだったのだ。

病院で、採血結果を見て愕然とした。クレアチニンが6・85と四月上旬の1・60から大幅に悪くなっていた。腎機能としては何分の一まで下がっているのだろう? 人間だったら透析を考慮するようなレベルだと思う。

エコーの画像も見せられた。右尿管の上流の腎盂のあたりに閉塞をきたしているというのだ。恐らく血餅という血の塊で、これが尿管を塞ぎ、右の腎臓が機能していないらしい。元々形質細胞腫が腎臓に悪影響を及ぼしているというのもあり、治療は不可能だという。この状況では普通、手術はしないし、しても、この全身状態の悪さでは手術中に死亡するリスクがあるという事だった。

エコーは、肝臓の付近にある貯留水も示していた。腹水というやつで余剰の水が溜まっていたのだ。これで自宅点滴を中止して下さいと告げられた。体重が少し増えた事を怪しみながらも喜んでいた私は愚かだった。

いよいよ終りがやって来たのだ。悲しみの津波に飲み込まれたようになった。もっと悪性腫瘍で消耗して最期を迎えると思っていたのに。効いていた化学療法が効かなくなってきて、緩徐に落ちて行くと思っていたのに、このような事態に陥るなんて……。腫瘍のダメージとは違う形で命を削られるなんて……。

血球検査の結果も見せられた。骨髄抑制は著明で白血球は3600と僅かに増えたが、血小板が2・4万とさらに下がり、赤血球を表すヘモグロビンは5・9だった。人間だったらふらつきを起こしそうなレベルだ。先生は、血球検査の結果を見て抗がん剤の治療判定をしようとしていたらしい。先生は言いにくそうだった。

「この三週間足らずで、治療効果判定をするには本当は時期尚早なのですが……」

「やめます。中止して下さい」

私は瞬時に決断し、きっぱりと言った。先生は、どこか安堵したような表情をしていた。抗がん剤が効いているかもしれないと思われるなら、無理にでも猫さんに飲んでもらうつもりだった。しかし、検査結果は明らかに悪くなっていた。