麻利衣は神撰のテロ計画について千晶に打ち明けた。
「本当なの? その話」
千晶は眉をひそめた。
「もし本当に東京で大きなテロが起きたら、千晶たちも危険な目に遭うかもしれない。もう少し様子を見てから……」
「嫌よ」
千晶はきっぱりと言った。
「そんな起こるかどうかも分からないことで大事な式を後伸ばしにしたくない。キャンセル料だってばかにならないし。
だいたいテロが起きたって、私たちの結婚式と何の関係があるって言うの? いい迷惑だわ。
私は何が起きたって、絶対にその日に彩斗と結婚するって決めたんだから」
「千晶……。分かった。でも気をつけてね。私は結婚式には出られないけど」
「えっ、どうして?」
「賽子さんが神撰のテロを止めるって言ってるの。私は助手として賽子さんの手伝いをしないといけないから」
「ちょっと待って。確かにあなたは賽子さんの助手だけど、そんな危険な仕事までする必要ないわよ。これは警察や自衛隊がするべき仕事でしょ。
あなたが行ったって、足手まといになるだけだし、命の保証だってないのよ」
「それは重々分かってるんだけど、でも私、賽子さんをほっとけないの」
「麻利衣……」
「最初はただ父の仇と思って近づいただけだったし、今でもありもしない超能力を信じている変人だと思ってる。
それにいつも冷淡で素っ気ないけど、一緒にいるうちにほんとは優しい人なんじゃないかと思い始めたの。
いつもなら金の亡者なのに、テロに関しては誰にも報酬を要求していない。きっと自分の命に代えても人々の命を守るつもりなのよ。
黙っていても隣にいるとそういう決意を感じるの。
もちろん私がいたって何の役にも立たないけど、賽子さんはこの間も『私のことを見ておくのがおまえの仕事だ』って言ってた。
賽子さんも私のことを必要としていると思った。だから私は賽子さんの傍にいたいの。ごめん」
千晶はすっかり呆れてしまった。
「分かったわ。でも、賽子さんと二人で結婚式には来て。 式は朝からやる予定だし、向こうだっていつ襲撃するつもりか分からないんでしょ? 何かあったらそれから対応すればいいんだから」
「うん……分かった」
麻利衣はようやく同意した。
次回更新は7月14日(火)、21時の予定です。
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