【前回記事を読む】初めての自宅点滴……背後から抱きかかえるように、彼女の腰を私の股の間に挟み、前脚のつけ根を固定したが、針がずれて痛がっていて……
悲しみの底で見つけたもの~猫さんが生きた八十九日間の記録
四月五日(土)
この状況の中でも良い兆しが二つあった。一つはようやく点滴の施行手順に慣れてきて、薬液が120mlフルに入った事だ。これで、水は心配ないだろう。
それに内服薬、特に抗がん剤が口腔内に貼りつく問題があったが、今後は内服後に液状おやつを口に含ませる事で上手く行きそうだ。
それにしてももう少しだけでも食べて欲しい。この日の栄養は110キロカロリー程度で、このままだとじり貧だ。
水分は、飲水290mlに点滴120mlの合計、410ml。排尿三回で、排便も三回あった。これで、夜間解放軍リーダーの資格を得た。この日はケージに入らずに一晩過ごす事になった。この日三回目の抗がん剤投与だった。
この日、体温計が届いた。体温はしっかり測定しておかないと。ただ、猫さんは病院で直腸測定の体温計を大変嫌っていて、獣医師に噛みつきかねない怒りぶりを見ていたので、非接触型の体温計にした。これは耳たぶに当てるだけで良いという。測定してみると発熱は無かった。
四月六日(日)
昨夜リーダーを行った猫さん、ずっと私の机の下に潜っていたので、いつもの様に布団を敷くと、私の枕元に猫さんがいるという格好になる。頭に猫さんの存在を感じられるのは幸せなものだ。
朝、目が覚めると猫さんはリビングから私の部屋に戻って来て、部屋の入口に伏せる。どうやらパトロールかトイレに行っていたらしい。
布団を畳むと、「やっと空いた」という顔をして、机の下に入り、ホラー漫画である諸星大二郎に顎を乗せた。
私の頭が近いのは嫌だったのか? 猫さんのふてぶてしさを感じると同時に、夜中ずっと伏せたままでなくて活動してくれて良かったという思いもある。トイレは二回行ったらしい。
確認してみると、アンモニアの鼻を刺すような臭いがする。こんな事はこれまでの猫生でも少なかったので、気になる。尿路感染症の併発か? 水を飲ませると、すぐに吐いた。
朝の調子は悪いようだ。時間を空けてシリンジで食事をさせる。この日は新しいカリカリご飯を二袋程買ってきた。
まず一つ目を試す。少しは食べたが、やはりがっつかない。何でもいいから食べてくれ!
結局、彼女はずっと部屋の机の下にいた。排尿五回。ステロイドは毎日飲ませているが、飲む事を拒否し始めた。ひと苦労だった。
この日の水分は飲水220mlに点滴120mlの合計340ml。摂取カロリーは170キロカロリーだった。