しかし、「ここでは、よその会社の問題には何もお答え出来ません。その様な問題は、本店にでも行って貰わなければ」と、それは至極当たり前の事ではあったのだが、さも迷惑そうな担当者のつれない返事が返ってきただけであった。

そこまでは、最初から予想した通りの展開であった。だから当然僕は諦めず、一連の成り行きに益々不安そうになる佐伯さんを横目に、さらに今度は、はるばる大手町にあった、その銀行の本店にまで乗り込んだのであった。

しかし、そこでの話し合いも、「うちは事業資金を融通しているだけですから。それは直接不動産会社に行って話し合っていただかなければ」と、結局は支店での話し合いと同じ様に平行線に終わってしまった。

実際その時は、銀行からの圧力を期待していただけに、僕もさすがに、一見つれない銀行の対応にちょっぴり自信を失いかけたのであった。

しかし、一度請け負った以上はそう簡単に諦める訳にもいかず、今度が最後の話し合いと思い直すと、もう一度不動産会社に乗り込む事にしたのであった。

ところが、朝の喫茶店での打ち合わせの時は、あんなにも元気だった佐伯さんが、銀行の本店から不動産会社に戻る途中の電車の中では、これまでのいきさつもあってすっかり弱気になってしまっていた。

「横沢さん、本当に大丈夫なのでしょうか? もし、これ以上駄目だったら、もう結構ですよ。でも、これから僕は本当にどうしたらいいのか」と、まるで恨めしそうな目で、そして心細げな表情を見せて僕に話すのであった。

 

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