* * * * *

エドワード国王は、父君が病弱であったので若くして国王に即位しました。

即位した年は大雨が続き、川は氾濫し、たくさんの家や橋が流されました。王宮の中に流れる小さな川に架かる橋も例外ではありませんでした。

エドワードは、父君である先代の国王がペガサス像に尋ねごとをしてから、既に四年が経っていることはわかっていましたので、荒廃したこの国をどうしたらよいか、早速、ペガサス像を取り出して聞いてみるのでした。

両手で抱えたペガサス像の小さな瞳がルビー色に赤く輝くと、王さまの頭の中に、劇場で一人朗読しているかのような、はっきりゆったりとした声が聞こえてきました。

不思議なことに、耳から聞こえるのではなく、頭の中に誰か人がいて話しているような、そんな奇妙な聞こえ方なのです。

「ユートピリッツの王、エドワードよ! 此度(こたび)の洪水は、お前たちがあまりに木を切り過ぎたことが原因であるぞ!

まず、流れ去った橋は丈夫な石の橋に架け替えるがよい。橋の下は、この地の黒き石を『クサビ』で繋ぎ、半円形の丈夫なアーチとするがよい。山のふもとには大きなダムを造るがよい。

さすれば、大雨の日にも日照りの時期にも役立つであろう。最後に、木を植えること、そして、国民の生活のためには半年の間、税金は半分にすることも忘れるではないぞ!」

エドワード国王は、ペガサス像からの声に従って、橋を架け替え、ダムを造り、山には木を植え、そして国民の生活を守りました。

それから、ペガサス像の声に助けられ、四十年もの歳月が流れました。

王さまが最後にペガサス像に迷いごとを聞いたのは、今から四年前。新しい年を迎えて間もなくのこと。独裁国が一方的にユートピリッツ王国の国境に押し寄せ「降伏」を迫ってきた、その時でした。王さまはペガサス像を両手で抱え、こう尋ねました。

「ペガサス像よ。遠くから敵の独裁国がわがユートピリッツの国境に押し寄せ、降伏せよと一方的に迫ってきておる。戦争を避け、このまま降伏すべきか、あるいは国を守るための戦争はやむを得ぬことか。最後に決断を下すのは、この私であるが、お前の声を聞かせてほしい」

 

👉『二十世紀のおとぎ話』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】月に3回、同僚とホテルへ行く習慣ができた。職場の飲み会の帰りにそういう流れになって、恋人はいたけど止められなかった。

【注目記事】その夜、彼女の中に入ったあとに僕は名前を呼んだ。小さな声で「嬉しい」と少し涙ぐんでいるようにも見えた...

 

ゴールドライフオンラインは、表現者を応援するウェブメディアです。
生身の人間が紡ぐリアルな言葉だからこそ、読者の心を揺さぶる力があると確信しています。
あなたも、"表現者"になってみませんか?
ゴールドライフオンライン編集部:glo_henshu@gentosha.co.jp