【前回の記事を読む】患者のための行為で刑事告発……なぜ医師は罪に? 安楽死をめぐる対立、その裏で何が
第3章 自死と自死幇助(人道的安楽死)――歴史的論考
しかしながら、適切で公平な見方をすれば、断定的な表現は避けるべきであり、自死という言葉は、中立的概念として選ばれるべきではなかろうか。
自死を望む人びと、あるいは実際に自死を行った人びとのさまざまな動機、(例えば、名誉棄損、恥、老い、病気、絶望)とその理由を、この概念を用いて病理学的に分析して、道徳的に非難されるべき人、神の意思に反する罪深い人、あるいは、犯罪として禁じられているかいないのかを明らかにしようとしているのである。
自死あるいは自死を考えるということは、その人が、避け得る状況にあるのか、逃げ道のない状況にあるのか、それが禁止されるべきなのか、そうではないのかの理由を説明することになる。
この文脈で行われる「幇助」は、現在では、「自殺幇助」ではなくて「自死幇助」と呼ばれている。
なぜなら、自殺幇助は、法律上の犯罪の準備とかその実行にかかわってくる言葉であるが、自死幇助はそのような犯罪ではないからである。その実態は、むしろ人道的医療安楽死を意味しているのである。
わたしにとっては、自死幇助の方がより適切な響きを持った言葉である。