授業では「王子は幸せだろうけど、つばめは死んでかわいそう」というクラスメイトの声も多かった。私はもう少し冷静に事実を見ていた。王子は動けないのだから、つばめは彼の頼みを断ることもできたし、無視して南へと飛び立つこともできたはずだ。でもそうしなかった。
つばめは王子の涙を見て、一回くらいならいいかと軽い気持ちで始めたんじゃないだろうか。そしたら王子はもちろん、運んだ先の人も涙を流して感謝してくれた。つばめとしては「こちらこそ」というくらい嬉しかった。二度三度と手伝ううちに、この仕事は自分にしかできない大切な仕事なんだという、強い使命感を覚えたんだろう。
つばめにとっては自ら選んだ道であって、むしろ幸せだったんじゃないかな。
「だって、自分も死んじゃったんだよ。王子に会わなかったら、そのまま南に飛んで長生きできたんだよ」
いくら反論されようと、私の気持ちは変わらなかった。
そして今、私は夢の中限定ではあるけれど自由に空を飛べる。私にもつばめのようにやるべき仕事があるんじゃないか。東京タワーに登るためでも、房総半島までクルージングするためでもない。“何かのため”に飛べるようになったんじゃないか。
次回更新は7月8日(水)、11時の予定です。
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