おとうさんはもう雨(あま)がっぱを着て長靴(ながぐつ)をはいてる。おかあさんも雨がっぱのフードをぎゅっとかぶった。
「おかあさん、わたしも! わたしも行く!」
チーホは真剣(しんけん)に言った。なんだか胸がどきどきする。
「わたしも行く!」とチーグ。
「ミーニョも!」チーグもミーニョも、泣きそうになって言った。
おとうさんは太いロープや懐中電灯やなにかを袋にいっぱい入れて「チーホ……」困ったようになにかを言おうとすると、
「みんな、よく聞きなさい」おかあさんが強い口調で言った。
「この大嵐(おおあらし)の中ではあなたたちは、たちまち飛ばされてしまうわ。家の中でがんばって待(ま)っていてちょうだい」
そうしておとうさんのトラックに二人で乗(の)って行ってしまった。
おかあさんだって、夜に子どもたちだけ残して大嵐の中、畑に行くなんて、心の内(うち)は心配(しんぱい)でしかたないサ。
トラックの助手席に乗って、口の中ではずーっとあのオリオンの歌をうたい続けてたよ。ケーケ、ケーケ。