きみは目が見えなくなってしまった
きみはもう生きていることを恨んでいる
きみはそれでも充分に人の話を聞く
ゆとりをもっていた
それがとてもうれしくて
きみの眼に向かって精いっぱい
話しかけた
きみには何かすることがあると
それをきみは捜しているのだと
一緒に歩もう
きみのその苦しい気持を
すこしでもやわらげることができたら
きみとわかれる時
きみの手を力いっぱい
にぎりたかった
(一九七一年九月二〇日)
医師から病状を告知されたコブシさんが、万一命を絶つことがないよう、看護師さんたちはそれから毎日コブシさんを見守ってくれました。
その後、コブシさんは同じ病気仲間がいるS県の専門病院での治療を希望し、槐が送って行きました。
コブシさんは、これからも治療し、歩行訓練や点字を習得しながら、五感で春夏秋冬を感じるように、きっと生き抜いてくれると槐は思えました。
こうして、医療から福祉の現場に引き渡され、安心して暮らせるようになるのでした。