【前回の記事を読む】薄桃色の肌と青く透き通るうつろな目をした裸婦の絵--オウムや猿、バラやユリが描きこまれ…ナバナさんは花粉症で、ティッシュペーパーを鼻に詰め「ごめん見苦しいね」と顔を赤らめ、目をしばたたくのでした。まつ毛の長い、小顔で黒髪の似合う、すらりとした、二五歳の精神医学ソーシャルワーカーだ。シャガさんと名コンビだった。ラン先生は「ナバナ女史」と呼び、槐はいい響きだなと思った。ナバナさん…
[連載]涌き立つこころありて
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エッセイ『涌き立つこころありて』【第4回】玻璃 槐
初めてのデートで映画『007』を観る。彼女の青春のひとときには、憧れと別れ、人とのつながりの温もりが静かに流れていた。
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エッセイ『涌き立つこころありて』【第3回】玻璃 槐
薄桃色の肌と青く透き通るうつろな目をした裸婦の絵--オウムや猿、バラやユリが描きこまれ…
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エッセイ『涌き立つこころありて』【第2回】玻璃 槐
槐は死者を送るというとても大切な場に立ち会い、社会人の役割を果たせたようで誇らしく思った。そして一人前になったと思った
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エッセイ『涌き立つこころありて』【新連載】玻璃 槐
今できること、それはエッセイを書くこと――80歳を迎える槐に刻まれた戦争の記憶。現在の世界情勢を見て、彼女は何を思うのか