【前回の記事を読む】老人ホーム選びで、見るべきポイントは? 後悔しないためには、設備や食事だけでなく、入居者同士の……

第三章 老人ホームを終の棲に決めたのは

ひとりの思いから

私は本を書くということがなかったら、創業者の介護に対する信念を知ることもなかったろう、本を書くにあたって社会に「介護」「老人ホーム」を発信するという熱い思いを持つと「老い」は自分ひとりの問題ではなく、永遠のテーマであることにも気付いていた。

アンテナを広く張ると今まで無関心であったり、知り得なかった情報までも、そのアンテナが感知するようになり、このベネッセの介護もその中の一つだった。

「八掛社会」──二〇四〇年には日本の現役世代が現在の八〇パーセントに減少し、それは日本で生きるすべての人たちに関係してくる生産性、経済力はもちろん、多くの問題が浮き彫りになってきている。少子高齢社会が話題にならない日はない。それがさらに進むのが八掛社会である。

ビジネスケアラーもその一つ。企業でも責任のある四十から五十代の人たちは老親の介護に直面してくる。もはや個人の問題ではなく企業の問題として、その対策、支援など環境づくりに取り組む会社も増えてきている。

今までにも介護離職は取り上げられている。そんな中、読売新聞に「介護する人に寄り添う」と題し、ケアラーも支援という記事があった。

 

介護疲れが原因の心中や殺人は後を絶たず、介護する者が自死するケースもある。

千葉県柏市では昨年8月、90歳代の母親を自宅で介護していた50歳代の女性が自死した。女性を支援していたNPO法人「ケアラーネットみちくさ」(同市)によると、母親は3年前から認知症で訪問看護を利用しながら、同居の女性が介護していた。

女性は、介護に悩んでみちくさの介護者の集いに参加し、少しずつ元気になっていた。だが、昨年7月頃から母親の妄想の症状が悪化。家から追い出された女性が車中やホテルで過ごすこともあった。

みちくさ代表の布川佐登美さん(64)に、女性から「疲れてしまいました」というメッセージが届いたのは昨年8月下旬。布川さんが女性宅にかけつけて話を聞き、母親を担当するケアマネに連絡。母親を入院させるよう勧めたが、女性はその翌日に自ら命を絶った。

布川さんは「深刻な状況をキャッチした後、関係者ともっとうまく連携が取れていれば……」と話す。

──『読売新聞』朝刊二〇二四年二月五日付記事