【前回の記事を読む】退院から1か月…減塩生活にも慣れたはずが、朝の尿がいつもよりも赤い…!? 光のせいだと思い込んでいたところ…
第十部:家族というチームメンバー
家族の負担も見えてきた。
買い物。調理。栄養計算。通院付き添い。
私は聞いた。
「疲れない?」
「疲れる」
「正直」
「でも慣れる」
その言い方は、どこかで聞いた。患者と同じだ。
私は役割を増やした。
・自分のログは自分で管理
・減塩メニューを週2回作る
・買い物リストを作る
・数値を共有する
チームは、分担すると安定する。
通院日に母が言った。
「今日は私、質問ある」
「いつもありますよね」
「今日は多い」
診察室でそれは発動された。
「ステロイド減量の目安は?」
「尿蛋白とクレアチニン」
「再燃ラインは?」
「今の値から+これくらい」
「感染予防の優先順位は?」
「手洗い・睡眠・人混み回避」
私は途中から聞き手になった。
医療面談の第三者視点は面白い。
帰り道。
「助かります」
私は言った。
「何が?」
「質問」
「聞けないタイプだから」
私は遠慮する。母は遠慮しない。
チームバランスは悪くない。
だが夕方、別の問題が起きた。
友人から誘い。
「飲もう」
最難関クエストだ。
私は正直に言った。
「今、腎臓やってて」
沈黙1秒。
「ノンアルでもいい」
合格だった。良い友人は、病気で選別される。
店選びも変わる。塩分表示のある店。
メニュー変更に応じてくれる店。
だし系がある店。以前とは違う地図だ。
ノンアル乾杯。
「「健康」」
言葉が重なる。
前より重みがある言葉だった。
「見た目元気だな」
友人が言う。
「中身メンテ中」
「車みたい」
「定期点検多め」
説明はそのくらいがちょうどいい。