【前回の記事を読む】「いつ地元戻るの?」と何度も催促してくる彼女…来週の水曜日に“決行日”を決めると、やたら褒められ……
第六章
また朝早くから僕は支度をして出発した。前日、明里さんから一緒に行こうかと誘いのメッセージが届いたが、さすがにそれは申し訳ないと断った。
向こうで、僕がどんな結末を迎えるのかわからないが、ひどくショックを受けて泣き崩れるかもしれない。
そんな姿は恥ずかしくて見せられないというのが七割、友達として明里さんにはずっと笑っていてほしいというのが三割働いた。
「やっほー。おはよう」
そう思っていたのに、僕が東京駅に着くと、明里さんは眠そうに目をこすりながら、立っていた。
「え、なにしてるの?」
「優くんを待ってるの」
「来なくていいって言ったのに」
「友達がいないと心細いと思って」
「それ、自分で言う?」
明里さんは手を叩いて爆笑する。朝早い東京駅は、これから仕事に向かうであろう人で溢れている。僕らだけがゆったりとした時間の中にいるみたいだ。
「こんな広い駅でよく見つけられたね」
「昨日、乗る電車とか時間とか、いろいろ教えてもらったから」
そういえば、そうだった。昨晩、明里さんにやたらと質問攻めされたのだ。このためだったとは、微塵も考えていなかった。
朝早くから来てもらって、帰すわけにもいかないので、僕は仕方なく明里さんと地元へ向かうことにした。なんだかんだ言って、少しほっとしている自分がいるのは否めない。
目を輝かせて駅弁を選ぶ彼女に、心の中で礼を言う。