「教員の孤立化」が進む教育現場
授業の準備や書類作成、生徒・保護者との対応、休日をつぶしての部活顧問としての日常。業務量がただでさえ多いうえ、相談できる上司や同僚が職場内におらず、メンタルに不調をきたすケースは少なくありません。文部科学省の調査によると、上司に仕事の相談ができる教員は35%にとどまっています。
講師として採用されたあと、1年で退職した知り合いのある男性教員は、「みんな忙しくて相談なんてできない。これ以上続けたら、自分がつぶれてしまうと感じた」と述懐していました。
「つらくて、教員を1年で辞めました。『東北の実家に戻らなければならなくなった』と嘘をつくしかありませんでした。生徒指導で悩みがあっても誰にも相談ができないんです。
担当している部活動では、言うことを聞かない子もいて。昔みたく、ヤンキーっていうほどではないんですけど、まわりと違う行動をし、かき乱す子が何人かいるんです。『いい加減にしなさい』と生徒を自分のもとに引き寄せたことがあるんですが、『死ね。死ね。わー、胸ぐらをつかまれた最悪』と言われ。そうした子のためになにができるのか、悩んでしまいました。
でも、同僚教員には、『誰しも直面していることだから。キツかったけど、俺らも乗り越えてきたから、君も乗り越えて』という雰囲気が根づいていました」
彼は関東の大学を卒業し、出身地での教員を目指しました。正規採用の試験は落ちてしまい、臨時採用のかたちで公立中学校の教員になったそうです。
「40人ほどの教員がいました。自分は3年生のクラスで副担任。運動部の副顧問。先生になって2日後です。あれっ、と思いました。研修もなく、すぐ現場に出されました。新人ですよ?『わからなかったら聞いて』と言われたのですが、聞けないんですよ。
職員室ではみんな黙々と仕事をしていて、雑談のような会話はいっさい聞こえません。生徒は自分の言うことをなかなか聞いてくれないし、授業の内容はきちんと理解できているのか、と。保護者との対応も、これで大丈夫なのかと不安ばかりでした」
教員の仕事は、「常に1人で孤独だった」と彼は振り返ります。日々の仕事の忙しさについても触れています。
「部活の朝練があるので、朝6時には学校にいました。授業の準備などで夜は10時くらいまで。あと、先輩より先に帰れなかったんですよ。それが暗黙のルールとして根づいていました」
これは特殊な例ではなく、かなり一般的な事例であり、それに耐え切れるか、耐え切れずにリタイアするかの状況になっています。この雰囲気に慣れることができるか否かが、仕事が続くか否かにつながっています。こんなことでよいのでしょうか。よいはずはありません。教師の教育環境の改善は必要不可欠な状況になっているのです。
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