【前回の記事を読む】日本の教育が「効率重視・教育軽視」で行われてきた結果、不登校な生徒が増加していた――その原因は生徒の精神状態だけではなく…

第1章 教育現場の諸問題

なぜ減らない、教師の体罰や不祥事

日本の教師に課せられた教育環境や責任の重さや負担は、先進他国とは比べものになりません。一人の教師が預かる児童生徒数が35〜40人にもなるような国は日本だけなのです。そこに、ビルド&ビルドで、新しい業務や指導カリキュラムや指示が積み上がっていきます。教師相互に相談や心を交流する時間もなくなっています。

まして、精神的には孤立しながら育ったゲーム世代の教師も増え、誰にも相談できずにストレスを溜め込んでいる場合も多いのです。

不祥事の根絶は、何十年も前から現場の校長や教育委員会に課せられた命題ではありますが、保護者がストレスを溜め込むことなく安心して子育てができる環境づくりや、多くの教師をコントロール不能な精神状態に追い込んでしまう教育環境の改善こそ、優先されるべきなのだと思います。

「#教師のバトン」が炎上したわけ

教員の仕事の魅力を発信しようと、文部科学省が2021年の春、SNS上ではじめた「#教師のバトン」プロジェクトで、2021年10月20日までに、SNSへの投稿が約8万8000アカウントから計約54万件(リツイートを含む)あったことが「朝日新聞」の分析でわかったそうです。

プロジェクトは、教員から仕事のやりがいや内容を発信してもらい、なり手不足の解消にもつなげようと、文科省が同年3月26日にSNSへの投稿の募集をはじめたものですが、狙いとは裏腹に、開始から1ヶ月ほどの間に「月の労働時間が100時間を超えた」「残業代をつけられないなら、本当に業務量減らして」など長時間労働を嘆く投稿が相次ぎ、炎上する事態となったのです。

なぜ、「#教師のバトン」が炎上したのか、その理由は単純なものです。教師が本音で不満を話せる場所や機会が、これまではどこにもなかったからです。

教育委員は行政の追認、議員は票にならない教師の声など問題にせず、校長は教育長の言いなりで、行政が上で現場が下の常識が行きわたっている今の教育界では、言いたいことや聞いてほしい不満があっても、その受け皿がどこにもなかっただけなのです。

現場の本音や不満を受け止め、それらに対処しながら教育現場の改革を行えていたなら、今のような不登校やいじめの増加や、教師の不人気による志願者の減少など教育現場の混迷も避けられ、子どもたちの幸福のための教育に近づけていたはずなのです。