【前回の記事を読む】「死んでしまったと思い込んでいるの?」身投げした覚えもないのに…謎の部屋に案内された私は、風呂に入らされて……

一、地底湖の王女

ジュランはいつまでも地熱の泥温泉につかり、真水と滋養エッセンスを調整した天然エキスを喫した。

ぼろぼろに傷んだ純朴な気魂は容易に癒えるものではなかったが、人知を超えた偉大な力によって徐々に修復されていく予感があった。

宇宙船にはリフィエラだけでなく、コスモロイドの動きを含む複数の気配が感じられたが、ジュランにそれを詮索する意欲はまだなかった。

かつて味わったことのない閑雅な境地で安らかな眠気に憩っていた。

やがて様子を見に来たリフィエラに応じて、ジュランは泥パックの浴槽から頭を起こした。

「本当はいろいろ話さなければならないはずなのに、この部屋はすごくなごやかで眠たくて……。お礼も言えず、よくしていただいてばかりで申し訳ありません」

言い終えると、やつれた頬のこわばりがすっと解けた。

「気にしないで。ここにあなたの休養を妨げる者は誰もいないわよ」

絶えず朗らかなリフィエラは、薔薇星雲の如く霊妙な微笑みを投げかけ、その輝きは未来の楽園を彷彿とさせた。

「ありがとうございます」と初めてジュランは礼を述べ、沃土の温泉から頭をもたげた。

リフィエラは地上の沼からこの空洞までの通路について解き明かしてくれた。

沼の軟泥は空洞の天井を覆う厚い岩盤に遮られ、その岩盤に沿って地下を流れる湖との接点へ続いている。

巨大な空洞の端は岩盤と湖とが交わる地点を成している。

ジュランを沼へいざなった催眠装置は、シリコン状の移動カプセルから発せられ、彼女を拾い上げて安息させた。

そののち洗浄室と同じ技術で泥を払って清浄にし、岩盤の端に設けられた巨大な入口から水晶フロアへ搬送したのだった。