【前回記事を読む】勝手に楽屋に忍び込んだファンが、“あるモノ”を見てしまい警察へ…何故その時、警備員やスタッフが1人もいなかったのか?
# 4 #
そこには女物のハンカチの上に、可愛らしい動物のキャラクターがあしらわれた髪留めがあった。
俺は片倉に
「この髪留め、お前のか?」
尋ねるも片倉は否定する。
「私は髪留めは使いません。化粧台の下の辺りに落ちてました」
俺はポケットから、やや小さめのジッパー付きのビニール袋を取り出し、髪留めをビニール袋に入れさせた。片倉が
「……どうするんですか? これ」
と尋ねてきたので俺は
「一応、鑑識に視てもらうよ。ひょっとしたら、『姿無き被害者』の物かもしれない」
俺達は改めて部屋の中を調べたが、これといった発見は無かった。控室を出て扉の前で警備していた警官達に
「ご苦労さん! 後は俺達で関係者に話しを聞いてみる。君らは署に戻ってくれ」
2人の警官達が署に戻って行った後、俺は独り言でも言うように
「さて、まずは責任者に話しを聞いてみるか?」
片倉は
「では、私は他のスタッフに聞いてみます」
俺達は二手に別れた。
# 5 #
俺はライブハウスの2階に上がり【事務室】と表示してある部屋の前に立った。ドアを開けようとドアノブを握ろうとしたとき、事務室の中から話し声が聞こえた。話を聴き取る事はできなかった。俺はわざとらしくドアをノックした。話し声はピタリとやみ、俺は扉を開けた。そして開口一番、普段聞き取りする前の口上を言った。
「城東警察署の小林と言います。このライブハウスで死体らしき物を見たと相談がありまして、関係者にお話しを伺いたいのですが?」
事務室の奥に座っていた恰幅のいい男が
「警察? 先ほども来ていましたが?」