男は
「いきなり大々的にデビューしても実力や実績がないと人気は中々続かないんですよ。桜手もそこはわかっていて、こうして草の根的な活動をしているわけです。そのアイドルは半年程度の活動ですがファンは少しづつ増えていまして……」
俺は話を聞ける人間を増やすべく尋ねてみた。
「そのアイドルは普段はどれくらいの人を連れているんですか? ……その、マネージャーとか……」
清水智哉は
「まだ駆け出しですから、刑事さんの言うとおりマネージャーが1人だけです」
俺は
「そのマネージャーさん、今日は?」
と尋ねたところ、男は慌てて
「そ、そうだ! 今日はもうライブハウスを閉めようと思っていたんです! 申し訳ありませんが本日はこのへんで……」
俺は清水智哉の目を真っ直ぐに見つめた。清水智哉の目はぎこちなく泳いでいた。
「……わかりました。長々と申し訳ありませんでした。また、後日お話しを聞きにお伺いしてもいいですか?」
俺がそう言うと清水智哉は
「勿論ですよ! 時間の許す限り協力いたします」
俺はその言葉に
「いやぁ、ご協力感謝します。では失礼します」
そう言い事務室を後にした。
1階に降りると片倉もスタッフに話しを聞き終わっていたようで受付近くに立っていた。俺が
「どうだった?」
とだけ聞くと片倉は首を左右に振り
「ダメですね。誰に聞いても同じ答えです。『死体など見ていない』その一点張りです」
俺は多少納得する部分もあり片倉に
「ひとまず署に戻ろう。それと……相談に来た女の子たちにも話しを聞かないとな……」
片倉は
「小林さんの方はどうでした?」
と尋ねてきた。俺は周りに誰もいない事を確認して片倉に言った。
「……ここの連中、何か隠してる……恐らく」
暫しの沈黙の後、俺と片倉はライブハウスを後にした。
次回更新は5月25日(月)、16時30分の予定です。
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