【前回記事を読む】刑事から「事件のことで眠れなくなったらここに連絡して」とメモを渡され…「刑事さんて、あなたみたいな人ばかりなんですか」

# 11 #

清水智哉への聞き取り当日の朝、俺と片倉は鑑識課にいた。松下課長から髪留めの鑑定結果を聞くためだ。俺達は鑑識課で松下課長の『ご出勤』を待っていた。

部外者の俺達が居るにもかかわらず、鑑識課の連中は意に介さずといった感じで、各々の席で朝食を食べていたり、スマートフォンの画面を眺めたりしていた。やがて鑑識課のドアが開き、ややラフな格好の整った顔立ちの女性が入って来た。その女性は俺達の顔を見るなり

「あんた達こんな朝早くから、ここで何をやってるんだよ? 鑑定の結果は『午前中』と言ったはずだよな? ……片倉」

鑑識課長の言葉に片倉は

「松下課長! 今日の聞き取りの成否は、あの髪留めの鑑定結果が左右します。結果……まだ出ませんか?」

片倉の言葉に松下鑑識課長は

「着替えてくるまで待っていてくれよ。報告書にするのに時間が欲しかっただけで、結果は昨日出てる」

そう言うと松下鑑識課長は奥の部屋へと消えていった。後に残された俺達に、気が利かないはずの鑑識課員の1人が空いている椅子を2つ持って来た。俺達は座って待つことにした。程なく着替えた松下鑑識課長が出て来た。そして俺達の前に来ると、振り返り

「例の髪留めを持ってきてくれよ」

そう言うと一人の鑑識課員が立ち上がり、別室に入った。そしてジッパー付きビニール袋に入った髪留めを持ってきて松下鑑識課長に渡す。松下鑑識課長が

「さ! あんたに返すぞ」

と俺に差し出した。俺は受け取り、松下鑑識課長に結果報告を促した。松下鑑識課長が落ち着いた口調で話し出した。

「当たり前だが『指紋』が検出された。人数は多くない。2、3人ってところだ」

俺はすぐに

「その中の一つが被害者の物だと?」

松下鑑識課長が頷く。そして言葉を続ける。