チッケは見ている途中で、この映画の主人公がしていることはクーカのしていることと同じことだと思った。
そして根拠もなく、何となくこの映画を選んだ理由がすぐにわかった。
クーカがこの映画を見るように仕向けたんだとチッケは確信した。
「クーカ、私たちの状況がこの映画と同じだってことだよね。わかった。わかってよかった。やっぱりそうなんだ」
チッケは頬杖をつきながら
「アンビリーバボー」
とおどけたようにクーカに向かって言ってみた。
ある日、チッケはガイケッサから小さな石をもらった。
水晶のような透明感のある内部に細い線が数本見えているその石は、白っぽくゴルフボールの半分くらいの大きさで、歪な形をしている。
ガイケッサは幼い頃チッケのピアノ教室に通っていた。
クーカは、週に一度楽譜を持ってやって来る小さなイタズラっ子に会えるのを楽しみにしていた。
彼女は大人に成長してからも、時々訪ねて来ては豊富な話題でお喋りをして楽しい余韻を二人に残してくれた。
ガイケッサは
「チッケさん、この石は何かのエネルギーとかにビッと反応して色が変わるんだって。凄いんだって。これで元気出して下さいよ」
と目をキラキラさせて石を掌に転がしながら言った。
彼女は少し霊感が働くと言っていたことがあり、ひょっとしてクーカの霊がこの辺りにいるかもしれないと思っているに違いなかった。
「ガイケッサ、霊は存在しないよ。人が死ぬことの恐怖心に煽られているから、そう語られているだけだよ」
とチッケは言おうか迷ったが、ガイケッサの気持ちを思って言わずにいた。
試し読み連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。