【前回の記事を読む】人が死ぬとは何なのか――死亡判定は、呼吸・心臓の停止と瞳孔の散大を医師が確認した時だが…体内の活動を続いている
奇跡の贈り物~次元を超える絆の物語~
繋がっていて消えないまま、ゆるゆるでふわっとした時間の概念がない全体。
全体では、言葉で表現するとどんどん実際と離れてしまい言葉自体が存在できないのだとチッケは考える。
「全体とは、何だろう?」
人はつい何につけても枠の存在を考えてしまうが、まさに指でさし示せない枠のない全体があるとしたら……。
いつもこの辺でチッケは思考停止になって
「ダメだ。言葉にすると間違いになる」
無力を味わいながらそう呟くのだった。
チッケが泣きながら夕食を食べている。
「クーカも食べてよ。美味いとか言ってよ」
咀嚼しながら嗚咽しているという惨めな芸当だ。
チッケがテーブルの向こう側のクーカの席に何度話しかけても、クーカは声を返せない。
「泣いてばかりいるんだな。ちょっと待ってろ。ズッカチアにお前を食事に誘ってもらうから」
クーカはズッカチアの脳内に入って
「チッケを夕食に誘ってくれないか」
と言ってみた。
するとチッケの携帯が鳴った。
「チッケさん、ズッカチアです。久しぶりにご飯食べませんか?」
「ホント? 嬉しいよ。いつにする? 元気出したいよ。有難う。ズッカチア」
クーカの仕業にチッケは唇を噛んで言った。
「クーカ、ズッカチアから電話があったよ。クーカは今どこにいるの?」
クーカはマホイの脳内にも飛んだ。
「マホイ、元気か? 今電話できたらチッケに電話して様子を見てくれないか?」
チッケは携帯のディスプレイを見て急いで電話に出た。
「マホイ!」
マホイは画廊でディレクターを務めている知的でクールな女性だ。