【前回の記事を読む】意識の定義とは。物事を決めるのは自分の意思――本当にそうなのか? 脳は意識が生じる0.5秒前に動くという...
奇跡の贈り物~次元を超える絆の物語~
クーカの意識の存在の証拠集めを続けて
「これも偶然ですか? これもこれも偶然のことですか?」
と、あらゆる人達に問うてみたいとチッケは思った。
「クーカが素粒子だって素粒子を乗り物にしていたって何だって構わない。クーカはチッケの周りのどこかにいる!」
チッケは見ることも触ることもできない意識に対して、五感の感度をマックスにしてテレパシーの伝え方を考え続けなければならないと思った。
ある時、チッケは久しぶりにケーキを買いに車を飛ばして大好きなスイーツの店に来ていた。この人気スイーツ店にはクーカと月に二回は来ていて、チッケの好きなケーキは決まっていた。長い行列の順番を待つ間、チッケはズッカチアに不意に電話してみたくなった。
ズッカチアはクーカがゴルフをする時に、キャディーをしてくれるゴルファー志望の女の子だ。ボーイフレンドはプロゴルファーで、四人で食事に行けばゴルフの話題で腹筋が痛くなるほど笑ったものだった。
ズッカチアは、チッケの家の前でケーキの箱を抱えて立っていた。
「チッケさん、今電話したんですよ。チッケさんの家の前にいますけど、チッケさんにケーキ買ってきました!」
「あれ? 今私がズッカチアに電話しなかった? わかった。すぐ帰るから待ってて」
チッケは
「何か、変。混線してる?」
チッケは一瞬、クーカは今どこにいるのかと思った。
クーカと二人で時々行ったそのスイーツ店にはいつも見事にたくさんのケーキが並んでいて、その中でもチッケの特別好きなケーキは二種類あった。
クーカはそれがどれとどれなのか勿論よく知っていた。
ケーキを買わずに急いで帰宅したチッケに、ズッカチアは
「そろそろケーキが食べたいんじゃないかと思って買ってきましたよ」
と言って箱を差し出した。
チッケは箱の蓋を開けて見た途端、やっぱりクーカの仕業だと確信した。
ケーキを無性に食べたくなっていたチッケに、大好きないつもの二種類のケーキを選んでズッカチアに運んでもらったのだと。
クーカはズッカチアの脳に入り込んで
「これとこれだよ、ズッカチア。チッケに渡してくれ」
と、ケーキを選んでいたのだ。
ズッカチアとしては、それは自分で選んだケーキだと思っている。
そしてスイーツ店からズッカチアに電話するようにチッケに仕向けたのもクーカの仕業だ。
クーカはチッケには電話させてズッカチアにケーキを選ばせるという忙しい仕掛けをやってのけた。