「テレポーテーションだ。これができるのは私と悠雅しかいないと言った。だが悠雅は自分自身をテレポートすることしかできないが、私は物体を遠くからテレポートし、取り寄せることもできる。これは今、おまえの部屋からテレポートし、取り寄せたものだ」

「そんな、馬鹿な……」

石原は狼狽した。

「私が返せと言ったのはこれではない。私の部屋から盗んだ物を返せと言ったのだ」

「えっ、どういうことですか?」

麻利衣が驚いて訊ねた。

「さっきのお前の推理だが50点だ。この女が犯人と気づいたのは褒めてやるが、私を金庫に連れて行ったのは、無実の証言をさせるためでも、罪を着せるためでもない。私の部屋から何かを盗み出すためだったのだ」

「でも、あのマンションはセキュリティが充実していて、金庫と同じで不審者が侵入したらすぐに警備会社が警察に連絡するはずです」

「もちろんだ。だが、悠雅ならテレポーテーションで容易に侵入できる。ただし、普段私は出かける時も神撰に侵入されないようにあの部屋に超能力(フォルス)でバリアを常に形成している。大事なドクトルが中にいるからな。

だがあの時、金庫への侵入を阻止するために保管庫の周囲にバリアを形成した。さすがの私でも2か所同時にバリアを形成することは不可能だ。そしてその隙に、私の部屋に悠雅が侵入し、何かを持ち去って行った。

だがドクトルは無事だったし、その他に盗まれた物もなかった。ただ、感覚として何かが失われたのは事実だ。盗んだピンク・ムーンは金に換えて、神撰の資金にしようとしたんだろうが、真の狙いはそこではなく、私の部屋にあったのだ。一体お前たちは何を持ち去ったんだ? 石原朋子、いや、神撰の工作員、安重(あんじゅう)糸」

石原、いや安重はフフフフと笑い声を漏らした。と同時に彼女の美しい顔はドロドロに溶け始め、その下から50代の女の顔が現れた。

「へ、変身の術?」

麻利衣と千晶はお互いに腕を取り合って後ずさった。

次回更新は5月24日(日)、21時の予定です。

 

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