俳句・短歌 歴史・地理 短歌 平安の都 2020.10.06 歌集「花と散りにし」より三首 花と散りにし 【第9回】 松下 正樹 平安末期、国を二分する戦いが起こった。それは保元の乱と呼ばれる戦乱であり、古代から中世へと、貴族政治から武家政治へと時代を切り拓いていく端緒となった。 この乱の原因である天皇家と藤原摂関家の内紛から崇徳院の配流という結末までの経緯が詠まれた創作短歌を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 にこやかな笑顔をつくりてありけるに心に般若の面を被りし *般若 鬼女。 崇徳院にまつはる噂ひろがりて都中の人の口さわがし ぬかづきて皇子さづかるを祈りたり得子のねがひ神にとどけり
小説 『千恵と僕の約束』 【第14回】 成田 たろう 四月上旬、家族三人で迎えた娘の入学式。娘がこの学校を卒業するのは六年後。妻が卒業式にも出席できますようにと祈った 四月上旬、娘の晴れの入学式を家族三人で迎えることができた。四カ月ほど前、がんと分かった時は、入学式を迎えられるとは、正直思っていなかった。少し肌寒い日だったが、晴れて、桜が咲いていた。手術後の痛みはまだ少し残っているようだが、どことなくはしゃいでいるように見える。雲の隙間から優しい光が差し込んでいた。「パパ、写真、写真、写真撮って!」学校の正門の前で千恵と娘の写真を撮った。千恵が、「彩ちゃん、誰…
小説 『ザ・総選挙[注目記事ピックアップ]』 【第13回】 利根川 尊徳 お宅の党から少しだけ議員先生を分けて貰えないかと思って。強かな女性党首、引き抜きを要望。 「うーん、一言で説明するのは難しいけど、『正論』を少しでも広めたいという熱い思いとでもご理解して頂けたならありがたいんだけど……」と煙に巻く様な事を言った。「『正論』ですか? なんかすっきりしないけど先生がそう仰るのでしたなら、そういうことにしておきましょう、それで私に何をしろと?」と今度は質問をぶつけてきた。「そうなの、あの政党助成金とやらが欲しくて……お宅の党から少しだけ議員先生を分けて貰え…