奈津美はミルクをかき混ぜながら、少し考えているようだった。孝蔵と同じように砂糖は入れないようだ。
「先日、父がここにお邪魔したとき、間宮さんから家族写真を勧められたと伺いました」
「ああ。あのときは少し出しゃばりすぎました。斎藤さん、怒っていらっしゃったのではないですか」
「いえいえ、父もいろいろと考えることがあったようで、姉夫婦も呼んで家族写真を撮ろうということになったんです」
「そうですか。それは良いことだと思います」
亮介は、一口コーヒーを啜る。口の中をコクのある苦みがすっと広がる。
「そうなんです。我が家はもうずいぶんと家族写真を撮ったことがなかったので、母も私も最初は驚いたんですよ。でも、家族写真を撮るのも素敵だなって思ったんです。それで撮ることにしたんですけど。父ができれば自然な表情で撮りたいって言いだして」
「ああ……」
亮介はピンと来た。あの記念撮影の写真が印象に残ったのだろう。
「母は2年前に脳卒中で倒れまして。だいぶ回復したのですが、左半身に麻痺が残って車いすなんです。しばらく遠出もしていなかったのですが、最近は調子も良いようなので、日帰りで鎌倉と江ノ島に行こうということになりました」
「なるほど。それでお願いというのは?」
「無茶なお願いかもしれませんが、間宮さんに旅行のスナップ写真を撮ってもらえないかと思って」
「スナップ写真ですか」
「そうなんです。できればアルバムのように仕上げてもらえたら嬉しいんですけど」
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