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とある警察署の中にある休憩室。広さは約6畳ほどだろうか? 数台の自動販売機が壁際に並んでいた。
スーツを着た数人の男達。その口から出てくる言葉は今日も〔あの男〕の陰口だ。
「あの人……いつも同じスーツですよね?」
「今日で何日目ですか? かれこれ2週間同じスーツですよ?」
「スーツ1着しか持ってないんですかね?」
「課長が何度かたしなめたそうなんですが、聞く耳持たずで……その時は1カ月同じスーツだったとか?」
「俺達の仕事はある意味〔人間相手〕の商売だからなぁ」
「袖のボタンずっと取れたままだぞ」
「あの人、奥さんと死に別れて、それ以来ずっと独身だから、ボタン付けてくれる人いないんだろう?」
私はそれらの陰口を、右から左に聞き流そうと努めていた。
『今日のテーマはスーツか……よく毎日話すネタがあるな』
私は湯気の立つコーヒーを口の中に流し込んだ。
一人の老刑事が私を見て話しかけてきた。
「そういえば……君はあの男と組んで長いそうだな? どうだ、あの男の仕事振りは?」
その場にいた男達が私を見る。私は普段行動を共にしている〔あの男〕について思い出せる事を話す事にした。
「まず狡猾な一面があります。関係者に話を聞くにしても誘導尋問上等な感じです。そして相手の言葉尻を捉えて畳み掛けます」
それを聞いた老刑事は溜め息をつく。