(いや、今はとにかくライブに集中しよう……!)

熱くなった頬を押さえ、大きく深呼吸をする。そしてもう一度、ステージ上でダンスパフォーマンスを披露する推しのちーちゃんを目で追いかけた。

ライブが終わって、自宅への帰り道。ライブの熱も冷めず、話がしたくて近くにある公園のベンチに並んで腰掛けた。

「あ~最高だった……」

まだステージの上で踊っているちーちゃんの姿が残像のように頭に残っている。途中で一度秋斗のことを気にしてしまったが、すぐに持ち前の集中力を発揮し、ライブでは大きな声でコールをするほど熱中した。

「あ、そうだ。ペンライト振ってくれてありがとう。意外とね、演者からも客席は見えるらしいんだ。だから、きっとちーちゃんは喜んでくれると思う」

「そう」

「うん。さっきも言ったけど、本当に来てくれてありがとう。客席が空いてると、メンバーもモチベ下がっちゃうと思うから、埋めてくれて、しかもペンライトまで振ってくれて、本当に嬉しかった。豊橋が楽しめたかどうかは、わからないけど……どうだった……?」

「俺も、楽しかったよ」

「本当?」

「うん。あんたがそうやってはしゃいでる顔、見れてよかった」

(まただ……)

秋斗の口からこういう言葉が出るたびに、頬が熱を持つ。それが秋斗にバレたら妙な勘違いをしているんじゃないかと引かれてしまうかも知れない。

(ここはちゃんと一度聞いておこう)

「あのさ」

「ん?」

「それって、いい友達になれそうって意味……?」

理子が思い切って発言の意図を尋ねると、秋斗は眉を寄せ、心底不思議という顔でこちらを見てくる。

「……あんた、これまで俺がそういう意味で言ってたと思うの? 本気で?」