【前回の記事を読む】良かれと思って「お前のお金も一緒に返しておいてやるよ」――これが事件のきっかけだった。激しい口論の末、男性は胸を刺され…
罪の行方 心臓手術が救った二人
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ふと気付くと、いつの間にか、薄い青緑色の壁が見える。やがてその青緑色の空間が部屋の壁であることに気が付いた。手術室かもしれない。
でも、とても静かで、何の音も聞こえない。しかし、室内を何かが盛んに動き回っている気がした。どこからか声がした。
「先生、心電図モニターを付けたんですが、波形は完全にフラットで、心臓は完全に停止しています」。
「そんなことはわかっている。だから心臓マッサージをしているんじゃないか」と私は大声で叫んだ。
「先生、それから、瞳孔が完全に散大しています」
「なに!……」
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ふと気付くと、外は白み始めており、夜は明けようとしていた。
ぐっしょりと寝汗をかいていたのでシャワーを手早く浴びた。そして、すぐに愛車のハリアーに乗って病院へ向かった。
とても気がかりだった。大橋を渡る時に朝日が昇ってきた。そうだ、もう1月2日の朝だった。
病院につくと、すぐにICUに向かった。
ICUに入っていくと、担当の看護師が真面目な顔をして、「目が覚め始めているみたい」と言ってくれた。私は、天にも昇る気持ちだった。
自発呼吸が出ていて、患者の呼気が人工呼吸器の加圧とぶつかっていた。その結果、気道内圧が上昇して、アラームが何度も鳴り響いていた。
「意識が出るか確認したいので、アラームが鳴っても鎮静剤は投与しないように」と指示をした。