「今は吉川君が入ってくれたから、ある程度依頼書に時間をかけられる状況かもしれないけど、前はそうじゃなかったの。その流れで依頼書にあまり詳しいことを書かずなあなあに済ませてきたことは事実だけど、それ以外にもフラットさんには過去の恩がたくさんあるの」
「期日を早めてくれって無茶言っても、追加料金を取られなかったり?」
「そう」
「それって、向こうの罪悪感を利用してるだけですよね。向こうが締め切りを守らないことも多いから、こっちの融通も利かせてくれよって圧をかけていることになりませんか?」
「言いようによってはそうかもしれないけど、外注先の人にだって生活があるの。向こうの社長とはずっと仲良くしてきたし、彼が会社のために手を尽くしてることもわかってる。私達からの依頼がなくなったら、会社の経営にも関わることなんだよ」
「それは企業努力が足りないだけでは? たかだか1社との取引が会社の経営に関わるほど傾いた経営をしている方が悪いと思いますけど。それに、こちらからの依頼のせいで彼らの首を絞めているのだとは思いませんか?
依頼書も雑で、わざわざ毎回電話してすり合わせなきゃならないってのは時間の無駄です。その時間があれば他の企業からの案件を受けられるかもしれない」
「知ったようなこと言わないで。たかだか1ヶ月の付き合いで、あなたに何がわかるの?」