憲法の前文は、憲法の目的や精神を述べていると考えられるから、その中で唯一権利という言葉を使っている箇所で、差別されない権利(と生存する権利)を宣言していることは、差別されない権利(と生存する権利)が、憲法が保障する諸権利を支える価値観・原理の中核を体現する特別な権利であることを証する一つのエビデンスでもある。
ところで、生存する権利あるいは生きる自由(十三条後段)と差別されない権利はどのような関係にあるだろうか。生きていなければ、差別されない権利を含め、どんな権利も成立しないという意味では、生存する権利は他の全ての権利の前提である。
一方、生存する権利・生きる自由を奪うことは、その相手は生きる価値がないと劣位に置き、生命を奪うという究極の不利益を課す差別に当たる。このように、生きる自由に限らず、一般に誰かの権利を強制的に奪う(隷従させる)ことは、差別に当たる。
その意味では、差別されない権利の侵害には、生存する権利・生きる自由の否定を含むその他全ての権利の否定も含まれる。つまり、差別されない権利を守ることは、他の全ての権利を守ることにもなる。
整理すると、生存する権利・生きる自由は他の全ての権利が成立する前提であるという意味で、また、差別されない権利は他の全ての権利を守るという意味で、普遍的な権利である。
さらに、憲法が保障する権利は、国民の公権力に対する権利であり、国民を守るという目的を含むことを考えれば、差別されない権利が他の全ての権利を守るということは、差別されない権利が、憲法が保障する諸権利を支える価値観・原理の中核を体現する特別な権利であることの一つの証左だろう。
[注1]私人間での差別されない権利の侵害も対象とする。なお、私人(法人含む)からの差別といった私人間の事象を、憲法が保障する権利との関係でどう扱うかという私人間効力の問題については、本章後半の憲法の保障する権利の射程の節で言及する
【イチオシ記事】初めての夜は独特だった。「男なのに、それで満足できるの?」と聞くと、彼は不思議そうに「男だけ気持ちよくなるのは違う…」
【注目記事】夜、二人きりになった途端に抱きついてきた夫。「一日中、部下に取られていたから…早くおいで」と言って私の手を引っ張り…