『初めまして、初デート利用のお客様』【セラピストK】
ようやく初めて会うみつきさんとの日程が合い、みつきさんは初めてのデート利用。みつきさんにご予約いただいた居酒屋の前に時間に間に合うように向かう。
25日、世の中はクリスマス、道路事情も読めない。
前のお客様との時間もしっかりと取りながら、みつきさんとの待ち合わせへ向かう。
「今、向かっています」
と連絡を入れると、
「遅れてもいいから安全に気をつけて来てください」
とのメッセージ。
これは絶対に遅れることはできない。そもそも、会うまでにたくさんのやりとりをして、
不安と楽しみを抱えながら僕の到着を待つお客様を待たせることはできない。
ギリギリになったがみつきさんと無事に合流できた。とても緊張されているご様子のみつきさんと店内へ入る。
クリスマスだったが、割と静かなお店で完全な個室のある居酒屋さんだった。みつきさんはいつも飲まれるというレモンサワーを、僕は車なのでジンジャーエールを注文する。
まずは飲み物が届いて、乾杯。
みつきさんからはお会いする前に、
「初めましてなのに、何を話そう。でもプロだから大丈夫ですね。お任せします」
とメッセージが来ていた。これはさすがに緊張する。
お客様のキャラクターにもよるけれど、みつきさんはよく話す方なのか、そんなことを考えながら、待ち合わせに向かっていた。
ところが、なんだろうか。
もともと陽キャとは聞いていたけれど、彼女との会話に話しにくさは微塵も感じなかった。
というのも、今までの彼女が女風で経験してきたことや、自分が小学校の教師であること、最近離婚したこと、さらには難しい年頃の娘さんたちの子育ての話など、いろいろと話してくれる。
深掘りして聞いていいのか?
それとも、ただ彼女は話を聞いてほしいだけなのか?
みつきさんはノンアルコールでいる僕のためにとたくさんの料理を注文してくれた。食べきれないくらいの料理。
食べながら話にも花が咲き、あっという間の150分だった。みつきさんが時間を気にされて、「そろそろ」という終わり方だった。
僕は一つやらかしたのだ。
この日もともと炭酸に弱いのに、ジンジャーエールなんて頼む僕の失敗。普段はあまりゲップなんてしないのに、気持ちが緩んでいたのか、かなり豪勢にゲップをしてしまった。
僕はひたすらに謝罪をした。でも彼女は笑っていた。
初めましてのデートで豪快なゲップ。僕は、「もうこれで次の予約はないな」とリピートなしを覚悟していた。
クリスマスで、溢れる人たちの中、駅へと向かう彼女を見送り、自分の失態をどうフォローすればいいのか、いやこれは無理だなと半ば諦めながら帰路についた。