どの施設も、だいたい一泊二日から一週間程度の体験入居を受け入れています。できるなら一週間体験入居してみて、食事がおいしいか、スタッフの対応はいいのか、入居者のなかに嫌な人はいないか、などと気になることはすべてリサーチすればいいでしょう。

居室や共有スペースの広さ、持ち込める私物の量、お風呂などの設備もチェックしておきたいものです。

最期まで人生を楽しむための終の棲家です。死ぬときに後悔しないためには、入念なチェックを必ずやるべきだと思います。

 

私は若い時、すでに福武書店という教育事業のことは知っていた。それに自分が入居したこのホームがベネッセの運営であることも知っていた。

しかしその関係は全く知らなかったし、創業者福武氏のことも聞いたことがなかった。ホーム側の人からこの四年半に一度も聞かされなかったことを不思議に思うくらいだ。

組織がこれだけ大きくなると氏の創業理念も薄れたり、「社是」として掲げられているだけで実践されていないことも多々あるだろう。

しかし、それはともかく私は創業者福武總一郎氏の介護理念、信念には親身な熱いものを感じていた。前のホーム長の、このホームを運営する考え、「社会性を持った大きな家族」には創業者の息づかいがあった。それは「家族」である。

それがきっかけとなって手に入れた資料に次のような文章があった。

 

一九八九年、当時福武書店の社長であった福武總一郎の祖母が他界。これより一年ほど前から訪問介護をお願いしていたのですが、祖母とうまくいかず、三人目のヘルパーとの出会いで初めて安心した幸せな表情を見ることができたといいます。

この時、福武自身がしみじみ感じたこと、それは「長く生きてきた人が、最後の最後に我慢しながら生きることがあってはならない。年をとればとるほど幸せになる国でなければならない」。この強い思いが、ベネッセの介護の原点となりました。

 

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