【前回記事を読む】結婚を認めてもらうためには、どうすれば…。姉の意見は「もしもデキてるならさ、それを口実に話を強引に進められるかもね」。

第1灯目 最大の難敵は双子のお父さん!?

しばらくして、客間のテーブルに、コーヒーとケーキが置かれた。全員が椅子に座ると、お姉さんとイケちゃんが同時に立ち上がった。

「お父様、あらためてご挨拶をさせてください」

お姉さんが言うと、渚たちは順番に話し出す。

「私は、俊彦さんからのプロポーズを受け入れましたが、まだ、お父様から嫁として認めてもらえていません。今日は、いろいろとお話がしたくて参りました。お父様への報告なしに私たちだけで結婚式を挙げたことは反省しています。申し訳ありませんでした」

すぐに、イケちゃんが話し出す。

「私は、真彦さんと同じ高校の同窓生です。真彦さんからプロポーズされて心の底から嬉しかったです。だけど、お父様には嫁として認められているのか不安です。結婚式のことは私も謝ります。すみませんでした」

謝罪した後も、渚たちは緊張した面持(おもも)ちで立っていた。それを見て真俊が話を始める。

「まあまあ、ふたりとも座って。えっと、白石さんと池江さんですよね。どちらも渚さんか……双子だからって、同じ名前の女性のハートを射止(いと)めるなんて……よくやったって、褒めてやりたい気分です。渚さんたち、会いに来てくれて、本当にありがとう」

そう言うと、渚たちを見て微笑(ほほえ)んでいる。予想外に上機嫌(じょうきげん)な父の表情を見て、俊彦と真彦は顔を見合わせた。

「父さん、俺の嫁さんはどうかな?」

「父さん、僕のお嫁さんはどうですか?」

「そうだな、正月に初めて会った時から感じていたよ。お前たちよりもしっかり者だってことにな。ふたりとも良いお嫁さんで、お前たちにはもったいないくらいだ」

「父さんは、結婚を認めてくれるの?」

双子たちが同時に言うと……。

「何を今さら……そんなこと当たり前だろ」

真俊以外の四人は、父の言動に拍子抜けしている。真彦が父に向かって小声で言う。

「結婚は認めないって、兄貴に言ったでしょ」

「俺が? そんなこと言ったのか? 悪かったな、酔っていて覚えていないよ。ハハハッ」

その言葉を聞いて、俊彦も真彦も呆れている。すると、渚たちが同時に言った。

「お父様、どうぞよろしくお願いいたします」

すっかり表情が緩んでしまった真俊が、渚たちの顔を見て言った。

「はい。こちらこそ息子たちをよろしくお願いします。ところで、合同結婚式のことはどうなっているのかな?」

「もしかして、母さんから連絡があったの?」

真彦の問いかけに、真俊が言った。

「まあな。ケーキを買ったのは、お前たちの母親からのアドバイスだよ」

「なるほどね。じゃあ、ケーキを食べようぜ」

そう言うと、俊彦が真っ先にケーキを食べ始めた。それから2時間余り、さまざまなことを話して家族としての関係性を深めた。

「父さん、そろそろ松本に帰るよ。じゃあ、またね」

「ごちそうさまでした」