これまでのあらすじ

「四人の未来にカンパ~イ!」

和歌山県の串本(くしもと)駅付近にあるホテルの一室にて、アラサーの2組のカップルが結婚式の打ち上げをしている。シャンパンで乾杯をして大いに盛り上がっているが、親族も招待客もいない、新郎新婦だけの結婚式の打ち上げだった。

どうして、そのようなことになったのか……。それを明らかにするには、渚たちの出会いから今に至るまでの歴史を振り返る必要がありそうです。

新婦である「イケちゃん」こと池江渚(いけえなぎさ)と、もうひとりの新婦である「お姉さん」こと白石渚(しらいしなぎさ)は、お互いのブログがきっかけで知り合い、意気投合(いきとうごう)して一緒に旅をするようになった。

当時のイケちゃんは25歳で、長野県の松本駅付近にある交通案内所に勤務。イケちゃんよりも一つ年上のお姉さんは、銀行員を辞めてから岐阜県の高山駅周辺のお土産屋で働いていた。

元気いっぱいの天然キャラで妹気質のイケちゃんと、芯が通ったしっかり者だが、実は繊細でときどき予想外の大胆さを見せるお姉さん。性格がまるで違うふたりの「渚」だが、すぐに意気投合して不思議と馬が合った。

最初に訪れた本州最南端の地に、参観灯台という「のぼれる灯台」があった。渚たちが参観灯台である潮岬(しおのみさき)灯台にのぼってみると……展望エリアから見た大海原(おおうなばら)の絶景に、ふたりは魅了(みりょう)されてしまった。

参観灯台の受付でもらったリーフレットを見て、潮岬灯台以外にも参観灯台が15ヶ所もあると知った。すると、イケちゃんはスマホで検索を始めて、あっという間に参観灯台完全制覇のプランを組み立てた。