真彦とイケちゃんが先に出ると、俊彦がお姉さんに言った。

「俺が家まで送っていこうか?」

「今日は大丈夫。列車で帰りたいの」

「じゃあ、駅まで送っていくよ」

「お父様、ごちそうさまでした。また来ますね」

「はい。今度はワインでも飲もう。じゃあ、気をつけて」

津田家の訪問を無事に終えて、真彦とイケちゃんは穏やかな気分で会話をしている。

「父さんが結婚を認めてくれて良かったよ。母さんが言っていたとおりだった」

「結婚を反対していたことを覚えていないなんて……陽気なお父様で安心した」

「ねえ、これから僕の母さんに会って話をしてみる?」

「今日はやめておく。お姉さんと一緒に会いに行きたいかも」

「一日に二度も緊張したくないよね」

真彦の言葉に、イケちゃんは軽くうなずいた。

第2灯目 旅の計画と結婚披露宴の準備

『四国の灯台めぐりの計画……よろしくね』

渚たちだけで結婚式場の下見をした後、次の旅行の計画……それを、お姉さんから託(たく)されて数日が経過した。

近所の梅の木が芽吹(めぶ)いているので、2月になっていると実感しているが……どんな旅にしようかと、イケちゃんは思案中だ。独身最後の旅だから『思いっきりはじけたい!』……という気持ちはある。けれどもアラサーによる女ふたり旅だから、アクティビティは無縁に思えている。

結婚式の披露宴についての準備もしなくては……招待客リストは早めに決めないと……マー君と相談しないと決められないわね……やっぱり、旅の計画と同時進行なんて無理よ!……そんな結論が出てしまい、ぬるくなったホットワインを一気に飲み干(ほ)す。まだ1杯目なので酔ってはいないが、簡単に食事を済ませてからテレビを見て過ごした。

気分を変えようと思い入浴タイム。湯船にまったり浸(つ)かっていると、四国に初上陸した時の出来事を思い出す。

男木(おぎ)島灯台を訪問した時、砂浜の流木に座って海を眺めながらお姉さんと話した。お互いにプロポーズされたことを告げて喜びを分かち合った。

 

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