俳句・短歌 歴史・地理 歌集 歴史 2020.09.30 歌集「風音」より三首 歌集 風音 【第9回】 松下 正樹 何気ない日常にある幸せを探しに。 優しい風を運ぶ短歌集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 あな不思議 おたまじゃくしに足が生え 尾が消えて蛙に変身す かおかおと蛙がより合ひ鳴き交す 歌垣の池にぎはひけり *歌垣 筑波山で行われていたと云う、男女の歌合せの祭り。 蛙たち 五月となれば池を出で 四足ふんばり土踏み歩む
小説 『眠れる森の復讐鬼』 【第7回】 春山 大樹 顔面まで焼けただれ、身元不明。いじめ被害の女子高生は、なぜあの公園で灯油を被ったのだろうか。 二〇一四年三月二十三日、月曜日の昼休み、急に教室が騒がしくなった。スマホに衝撃的なニュースが流れてきたからだ。その日の未明午前三時頃、山本公園で火災発生の通報があり消防隊が駆け付けたところ、人が炎に包まれて倒れているのを発見。病院に救急搬送されたが全身に火傷を負っており、意識不明の重体。近くに灯油を入れていたポリタンクが落ちており、焼身自殺を図ったものと思われる。顔面を含め全身が焼けただれている…
小説 『真夜中の精霊たち』 【第5回】 新見 上 彼女は他の女の子達とは違う。彼女ときたら、男がいる前で、お構いなしにガニ股で水の流れの中を踏ん張って洗濯しているんだから。 【前回の記事を読む】君は恋をしたことがある?――部族一美人の親友の彼女に猛烈に恋をして二人きりになろうと…彼がハミングアローに心を奪われるようになったのはね、あの川での水浴びの一件からなんだ。なに、きっかけは別に大したことじゃなかったのさ。ほかの人が聞いたら「おいおい。君はそんなことで恋に落ちたってのかい? 冗談だろ」とかなんとか言って、鼻で笑うんじゃないかな、きっと。でも彼にとってその瞬間は、…