俳句・短歌 歴史・地理 歌集 歴史 2020.09.23 歌集「風音」より三首 歌集 風音 【第8回】 松下 正樹 何気ない日常にある幸せを探しに。 優しい風を運ぶ短歌集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 くろぐろとつらなる卵はやはらかな 卵嚢に保たれ孵るを待たむ 日数へておたまじゃくしが孵りたり 丸い頭に尾が付いている 池じゅうにおたまじゃくしの群がりて ひらひらひらと尾を振り泳ぐ
小説 『おとこと女』 【新連載】 澤村 涼一 「最近何か面白い本、読みました?」…迷った結果“三島由紀夫”と答えたが、語りすぎた…数秒の沈黙の後、彼女は唐突に…… 「あっ、一ノ瀬(いちのせ)さん、最近何か面白い本、読まれました?」一ノ瀬が食堂で夕食前と夕食後の配薬の準備に取り掛かっていると、同じく食堂で夕食に向けた配茶の準備をしていた川名香澄(かわなかすみ)が声を掛けてきた。一ノ瀬はちょうど配薬の開始において既に食堂のそれぞれの席で待機している入居者の内、どの入居者を皮切りに配薬をスタートするか、ある程度開始の順番の目星を付けたところで、それ以外のそれぞれ…
小説 『丘の上の教室』 【第2回】 茶里 落ちる予定で受けた面接なのに…採用通知が届いてしまった。一旦承諾していいところで退職しよう、と思ったが… 【前回記事を読む】18時を過ぎても、彼は体育館で1人考え込んでいた――2週間前、校長から「誰も退学させるな」と内密に命令された「十時からの面接で仙台から参りました藤井と申します」受付で挨拶を済ませると、彬は受付の女性に控え室へと案内された。春一番の隙間風が廊下の窓から入り込み、ドアを小刻みに振動させていた。改めて見ると、白い壁は漆喰が剥がれかかっており校舎の至る所が老朽化している。中庭の草木もそ…